動画編集において、軽視できないのが音量です。
「たかが音量くらいで?」と思われるかもしれませんが、視聴者の立場になって想像してみて下さい。
YouTubeなど動画コンテンツのタイトルを見て興味を持って視聴を始めたのに、BGMの音量が大きすぎて話し手が何を言っているか分からない。
高性能のマイクやエフェクターを使って編集された動画でも、音量のバランスが合っておらず聞き取りづらい。
このようなコンテンツは、いくら中身や使用機材の性質が良くても視聴を続けてもらえなくなるでしょう。
逆に、音量調整が適切にされていれば、それなりの機材を使用して編集された動画でも、視聴者に不快感を与えず視聴を続けてもらえます。
動画編集において、良いコンテンツを作る上で音量調整はなくては必須な工程となります。
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音量調整のボリューム目安
音量調整で知っておきたい用語
音量調整の際によく使われる用語としてデシベル(dB)とヘルツ(Hz)があります。
デシベル(dB)は音の大きさを示す単位です。 数字が大きいほど音も大きいことを示します。
編集ソフト上でボリュームをあげたい時にはdBの数字が大きくなるように調整し、逆に下げたいときには数字が小さくなるように調整します。
この際、気にかけておきたいことは、音の種類によって聞こえ方が異なることです。
音の性質を表す単位としてヘルツ(Hz)が使用されます。ヘルツ(Hz)は周波数の単位を表しており、数字が小さい値ほど低音で、数字が大きい値は高音となります。以下は周波数の例です。
100〜230Hz トラックの走行音
440Hz NHKの時報の「ピ、ピ、ピ」という音
880Hz NHKの時報の「ピーン」という音
2,000~4,000Hz 鳥のさえずり
参考サイト:音の周波数「Hz(ヘルツ)」ってなに?わかりやすく解説
人間の耳が聞き取れる周波数は20Hzから20,000Hzの間だと言われていますが、低音は聞き取りにくく、高音は聞き取りやすいようになっています。
例えば男女が会話をしている動画を編集する際には、男性の声は小さめに聞こえ、女性の声は大きめに聞こえるということを考慮して進めると、視聴者にとって聞き取りやすいものとなります。
メイン音声
話し手やナレーションの声など、人の声を入れる場合は、-5dB 〜 -15dB が目安となります。
1番強調されるべきメインの内容となりますが、やはり全体のバランスは大切ですので動画の完成前に全体を試聴して再確認するようにします。
BGM, SE
BGMやSE(効果音)を取り入れる際は以下の数字を目安とします。
BGM→-24dB
MVなど音楽がメインの場合→-15dB
SE→-5dB前後
人の声と効果音を同時に取り入れるなら、効果音の音量は -5dB 〜 -20dBの間に収まるように設定します。
効果音と人の声のバランスをどう取るかにより変動します。
BGMをメイン音声よりも20dBほど低めにBGMの音量を設定する「-20dBルール」という業界用語があります。
動画編集の際には、ほとんどの場合BGMや効果音は著作権フリーのものをダウンロードしたり、専用サイトで購入して使用するのではないでしょうか。
この際に留意したのが、これらの音源はすでにノイズをカットしたり、バランスを調整したりして高品質になるよう調整されているということです。
それに対し、カメラやマイクで撮った生の音源やナレーションは、まだこのような調整がされていないことになります。
なので、BGMは生の音源のものより聞きやすくなるため、音量が大きく聞こえてしまうことを考慮し、「少し小さすぎるかな」と思うくらいがちょうどいいボリュームとなります。
また、効果音を差し込む際には、音の高さ(周波数)も意識するようにします。チャイムや拍手、歓声などの高音の機械音は音量を小さく、太鼓の音や動物の唸り声など低音の効果音は音量を上げるようにします。
そうなると、視聴者が大きすぎる効果音に驚いて離脱してしまうことを防げるでしょう。
視聴者の立場になり、動画のそれぞれのシーンで、どの音声を強調すると聞きやすくなるのかを意識して調整するようにします。
音量調整する手順
Premiere Proの場合
【手順】
動画全体の音量を調節する場合、タイムラインに取り込んだ音源を追加します。
複数の音源を編集する場合、それぞれの音源をA1,A2,A3など分けて追加すると、別々に編集がしやすくなります。
次に、オーディオクリップミキサーで音量を調節します。
オーディオクリップミキサーの左側の数値(dB)を確認しながら好みの音量に調整します。
動画の一部の音量を調整する場合、タイムラインに音源を追加した後にペンツールのアイコンを選択し、編集範囲を選択します。次に音量編集地点を設定するためのアンカーポイントをつけます。
アンカーポイントは始点と終点、中間など複数つけることができます。
徐々に音声を下げたい場合は、角度がなだらかになるように設定します。
iMovieの場合
Mac版のiMovieで音量調整をするには、2つの方法があります。
1つはキーフレームを使用して編集する方法です。キーフレームとは、動画内の特定のポイントに追加して、そのポイントの音量を変更できるマーカーのことです。動画の一部の音量調整も可能です。
Optionキーを押しながら、タイムラインでiMovieで音量を調整したいビデオクリップ或いはオーディオクリップをクリックし「◆」というキーフレームを追加します。
「◆」というキーフレームまたはキーフレーム間の音量コントロールをドラッグし、音量を調整します。
キーフレームを利用する他、キーボードにあるRキーとマウスを同時に利用したら、動画・音声クリップの一部を選択することができます。そして、その選択範囲の音量を調整することもできます。
もう1つはタイムラインから範囲を選択して編集する方法です。
タイムラインで、クリップにポインタを置き、Rキーを押しながら範囲選択をドラッグしてクリップの一部を選択します。
選択した範囲内で、音量コントロールをドラッグすることで、音量調整することができます。
Microsoftフォトの場合
BGMの音量調整をする場合、ソフト上部の「BGM」を選択し、「音楽の音量」スライダーをドラッグし、設定できたら「完了」をクリックします。
タイムライン内の動画の全体の音量を調整するには、動画の右下に表示されているスピーカーボタンをクリックします。スライダーが表示されますので、それを上下に移動させて調整します。
音量調整するタイミング
動画編集の最後に行う
音量調整作業は動画編集作業における「仕上げの作業」です。
まだ全ての動画編集が終わっていないうちから音量調整をしようとしていくと、最初と最後で音量調整が全く異なる動画になっている可能性があるからです。
動画編集のはじめの段階で、全体の音量ボリュームを均一にする作業を行い、動画編集のラストに音量の微調整を行います。
動画編集が完了した後、確認途中に同じ効果を他のシーンに付け加えたくなることもあると思います。
ただ、一つ編集作業を行うと、それに付随して同様の内容を他の部分に追加しなければならない場合もあります。
その作業が漏れてしまうと、一度出力した動画を再度編集をすることになり、2度手間になってしまいます。
また、挿入するBGMの音量が適切かどうかは動画編集完了時点で確認してみないと分かりません。
この確認作業の際には、動画の内容でなく音声に集中して作業する必要があります。
では、具体的に最終確認の作業はどのように進めればいいでしょうか?難しく感じる方も多いかもしれませんが、実際はとてもシンプルな作業です。
一旦編集作業を終了した動画を、目を閉じてヘッドホンをして再生させながら以下の点を確認します。
- メインの人の話す声が聞き取れるか
- BGMは快適に聞こえるか
- 効果音が大きすぎないか
途中で違和感を感じたらその時点で編集し、再度再生させながら確認します。
ヘッドホンでの確認が終わったら次はスピーカーでも再生させて確認します。
先に映像を編集し、全部編集作業が終了してから音声を編集することで、作業の効率を高めることができます。
動画編集で効果音を入れる手順|効果音挿入におすすめのフリーサイトも紹介
まとめ
動画の視聴を続けてもらうために音量調整は必須の工程です。
音の種類により聞こえ方が異なるので、編集の際に意識します。
メイン音声の音量の目安は-5dB 〜 -15dBとなります。また、BGMの音量はメイン音声より20dBほど低めに設定します。
作業の二度手間を防ぐために音量調整の作業は全ての編集作業の最後に行います。
全ての編集作業が終了したら、一旦目を閉じて動画を再生させながら最終確認を行います。
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